文章を書く仕事や、個人ブログを運営している方は、たくさん「書く」ことを続けていることと思います。
せっかく文章を書くのだから、どうせならその文章で人を動かしてみたくはありませんか?そのためのライティング手法が「エモーショナルライティング」です。
「エモーショナル」というとなんだか大層にきこえますが、流れがわかればそれほど難しいものではありません。これを身につけることで、今まで以上に読者に響く文章が書けるようになるかもしれません。
今回の記事では、会社でライティング業務を行う方や、個人でブログを運営している方に向けて、エモーショナルライティングをわかりやすく解説していきます。
目次(クリックできるよ)
エモーショナルライティングとは?
「emotional(エモーショナル)」とは「感情的」「情緒的」という意味です。
エモーショナルライティングは、読者の感情を動かして行動してもらうためのライティングです。文章を書いても、冒頭だけ読んで「なんとなくわかったから最後まで読まなくていいかな」と思われては困りますよね。
読者が記事を読んだうえで、次の行動に移りたくなるためには、「先が気になる」と期待しながら読んでもらうことが大切です。そのためにも、エモーショナルライティングでは話の結論は最後に示し、結論にいたるまでのストーリーを展開していく必要があります。
ポジティブな感情に訴えかける
エモーショナルライティングの方法の1つは、ポジティブな表現で共感を生むことです。
たとえばロボット掃除機の記事を書く場合、大切なのはスペックを紹介することではありません。
ロボット掃除機を購入することで得られるポジティブな未来を連想させることが大切です。
- 出かけている間に掃除をしてくれるので、家事の時短に繋がる
- 掃除機のスペースをなくせるので、家具の収納が楽になる
このように、未来の状況が好転することをイメージさせることで、購買意欲を高めます。
ネガティブな感情に訴えかける
エモーショナルライティングのもうひとつの方法は、読者の悩み・困っていることなどネガティブな感情に訴えることです。
さきほどのロボット掃除機の例で行くと、たとえば以下のような書き方が考えられます。
- 掃除のたびに毎回、掃除機を引っ張り出してくるのが面倒
- 掃除機で10分や20分取られるのが苦痛
こういった感じで、掃除に関する悩みを挙げたうえで、ロボット掃除機の効率の良さや省スペースを説明してあげると、悩みが解消されそうな気になって購買意欲を少しでもかき立てることに繋がります。
伝える相手を決めることが大切
文章のなかでストーリーを展開するうえでは「読者みんな」ではなく「だれか一人」に向けて書くことが有効です。
たとえば、「高画質と使いやすさを追求したカメラ」を紹介する時の文章を、「20代の男性」に向けて書くのと、「60代の女性」に向けて書くのでは、内容がまったく異なりそうですね。
「全員に当てはまること」を書こうとすると、かえって誰にも響かない文章になってしまうことも。そのため、文章を書くときには、まずペルソナ(想定される読者像)を設定することから始めましょう。
エモーショナルライティングのメリット
エモーショナルライティングで書くと、淡々と結論から書くより感情が伝わりやすくなるため「ページ滞在時間が長くなりやすい」です。また、その記事からブログ自体に興味を持ってもらうことで「離脱率が低くなりやすい」です。
「ページ滞在時間」や「離脱率」はSEOに影響する指標なので、これらの数値が良好であれば記事の検索順位にも好影響が見込めます。
個人の意見や感情を入れた文章や記事は、企業のブログではなかなか作成することが難しいです。そのため、個人ブログが企業との違いを出していく意味でも「感情・エモさ」を少しは出していくと良いですね。
ロジカルライティングとエモーショナルライティングの違い
- ロジカルライティング:「結論→なぜそう言えるのか」の順で「理屈」をわかりやすく伝える
- エモーショナルライティング:イメージが湧くように、「体験」をストーリーに落とし込む
エモーショナルライティングと対になる手法として、「ロジカルライティング」があります。
ロジカルライティングでは、文章の冒頭で「結論(または総論)」を述べ、その後に「なぜそう言えるのか」を書きます。読者は冒頭部分を読んだ段階で、「この文章は何が言いたいのか」を把握したうえで読み進められるため、圧倒的に文章わかりやすいメリットがあります。
●例文:ロジカルライティング
この電子書籍サービスなら、利便性が大幅にアップすること間違いなし。
なんと、100万冊以上の書籍が読み放題です。マンガ・小説・ビジネス書など、20種類のジャンルを幅広く展開しています。
さらに、どれだけ読んでも月額980円。ビジネス書を1冊読めば元が取れます。
●例文:エモーショナルライティング
あなたは、参考書やビジネス書を何冊くらい持っていますか?10冊くらい?多い人は50冊以上お持ちかもしれません。
この電子書籍サービスをスマホにダウンロードすれば、もう本を持ち歩く必要はありません。
あなたが持っている書籍がすべて、スマホの中に入ってしまいます。
たとえばある日のカフェでの休憩中。重たそうな本をカバンから出して読むお客さんを横目に、あなたは片手で軽々持てるスマホを片手にコーヒーを飲みながら、優雅に読書を進められます。そしてすごいのは、これだけではありません。
あなたは、マンガや小説を読まれますか?
このサービスでは、20種類以上のジャンルの書籍を100万冊以上取り揃えているため、読む本に困ることもありません。電車での移動中や家でくつろぐ時間に、スマホひとつでサッと本を取り出せてしまいます。
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エモーショナルライティングの型
AIDCAS(アイドカス)の法則
エモーショナルライティングに使える文章展開のひとつが、AIDCAS(アイドカス)の法則です。
AIDCASの法則は、人がものを買うときの気持ちの変化を表したものです。
- A:Attention(注目)
- I:Interest(興味)
- D:Desire(欲求)
- C:Conversion(確信)
- A:Action(行動)
- S:Satisfaction(満足)
例として、高品質なハンドクリームの紹介をAIDCASで書いてみます。(SatisfactionのSは、購入後のことなので省略しています)
- Attention(注目):思わず触れたくなるようなみずみずしい素肌へ
- Interest(興味)~Desire(欲求):
(見出し)
○○が開発する最新のクリームで美しい手へ。いますぐ始めるべき3つの効果
(小見出し)
1.4つの有効成分と2つの保湿成分であなたの肌に潤いを届けます。
2.○○製薬との共同開発により、長時間の保湿効果を実証済み。
3.主婦1,000人のモニターのうち96パーセントが「手荒れしにくい」「いままでいちばん好きなハンドクリーム」とおすすめ(アンケート結果あり) - Conversion(確信):お客さまやスタッフの声・体験エピソードを紹介
- Action(行動):最後のキャッチコピーやアクションボタン
冒頭のキャッチコピーで読者の気持ちをつかむ必要があります。
キャッチコピーは、書き手の視点ではなく商品を購入するユーザーの視点に立って作りましょう。
そのあと、キャッチコピーの根拠となる理由を3つか4つで示します。この理由を読んでいくうちに、注目→興味→欲求と読者の心理を変化させるのがAIDCASの狙いです。
PASONA(パソナ)の法則
PASONA(パソナ)の法則とは、日本一のマーケターと呼ばれることも多い経営コンサルタントの神田昌典氏が考案した法則です。
テレビの通販番組も、このPASONAの流れを頻繁に用いています。
PASONAの法則では、冒頭で「○○で悩んでいませんか?」と問題提起(Problem)を行うことから始めます。
これにより、読者が「自分ごと」として文章を読み進めやすくなります。
- P:Problem(問題提起)
- A:Agitation(あおり)
- SO:Solution(解決策提示)
- N:Narrow Down(絞り込み)
- A:Action(行動)
また例として、高品質なハンドクリームの紹介をPASONAで書いてみます。
- Problem(問題提起):手荒れのかゆみ・痛みに悩んでいませんか?
- Agitation(あおり):放置しておくと、ひび割れやあかぎれになってしまいます・彼氏やお友達の目に止まってしまうかも など
- Solution(解決策提示):
(見出し)
○○が開発する最新のクリームがあれば対策は完璧です!いますぐ始めるべき3つの効果
(小見出し)1.4つの有効成分と2つの保湿成分であなたの肌に潤いを届けます。
2.○○製薬との共同開発により、長時間の保湿効果を実証済み。
3.主婦1,000人のモニターのうち96パーセントが「手荒れしにくい」「いままでいちばん好きなハンドクリーム」とおすすめ(アンケート結果あり) - Narrow Down(絞り込み):「本日限り!」の限定訴求や、「今なら最新化粧水のサンプルつき!」などのお得感
- Action(行動):最後のキャッチコピーやアクションボタン
PASONAの法則は、「セールスレターはこう書くべき」といわれる手法です、この流れに当てはめて書くことで、人が商品やサービスを買うときの心理に沿ってライティングできます。
男性が女性向けの商品を紹介したり、20代のライターが40代向けの商品を紹介したりする場合、Problem(問題提起)が思いつかないこともあるでしょう。
そのような場合は、Yahoo知恵袋のようなサイトを調べてみると、ペルソナに近い人物のリアルな悩みに接することができます。
読者のイメージを膨らませるキーワード「たとえば」
読者が「この文章は自分に関係がある」と捉えるとき、どんどん文章にのめりこんでいく心理が働きます。エモーショナルライティングで文章中にストーリーを入れる狙いはここにあります。
難しいテクニックが必要に感じるかもしれません。そんなときのキーワードは「たとえば」です。
たとえ話によって読者が想像しやすい身近な例を出すことで、難しい内容を理解しやすくなるメリットがあります。
たとえ話を用いながら、「それを買ったら、自分にどんなメリットがあるの?」ということを説明してあげましょう。
みなさんは、どんなときに電子書籍を使いたいと思いますか?
“たとえば”、重たい本を持ち歩かずカバンを軽くしたいとか、本屋に買いに行かなくてもその場ですぐ読みたいとか、すき間時間でサッと本を読みたいとか・・・
これら全部、今すぐできるようになります。
エモーショナルライティングとロジカルライティングを使う場面
アフィリエイトやブログでは使うべき
商品を紹介するアフィリエイトや、企業が運営する社内ブログには、エモーショナルライティングが向いています。
商品やサービスを購入しそうな人の年齢・性別などからペルソナを設定し、「購入することで生活がどう変わるのか?」という、その人にささるストーリーを交えながら商品やサービスを紹介しましょう。
比較記事には向かない
商品を紹介する記事の中には、複数の商品を比較するタイプの記事もあります。
この場合、エモーショナルライティングは向いていません。読者は商品を比較するときに、商品ごとのスペックを用いるため、端的にスペックを記述してあるほうが比べやすいからです。
ビジネスの場で使うのはロジカル
ビジネスの場では、基本的にロジカルライティングを用いるべきです。
社内資料・制作物・メールなどは、先に結論を述べられており端的にわかりやすいことが重要です。
ロジカルライティングが身についていれば、「・・・で、何がいいたいの?」「文章がわかりにくい」と言われたり、思われたりすることがなくなるでしょう。
まとめ
エモーショナルライティングでは、単に商品スペックを説明するだけでなく、「購入することでどんなハッピーが訪れるのか」を意識してストーリーを取り入れてみてください。
きっと人の行動をうながしやすい文章が作れます。